文字と言語音の関係

文字と言語音の結びつきは、音符とドレミファソラシドの音の関係と共通している!

楽器演奏ができる人は、楽譜を読んで演奏します。音楽もある意味、言語と同じだと思いませんか?音符が文字の役割をしていて、楽譜は文章や物語と言えるのではないでしょうか。五線譜に並んだ音符を見て、ドレミの音階に変換できない人は、楽器を演奏することも難しいかと思います。楽譜が読めない人にとって、五線譜に並んだ音符はどんな風に見えているのでしょう。おたまじゃくしが並んでいる?模様?人それぞれ感じ方は違うにしても、音楽を学んできた人は、音符と音の結びつきを理解し、楽譜が読めるようになって楽器の演奏ができるようになります。

日本語学習で考えてみると、平仮名の文字と言語音の結びつきを理解することで、平仮名で書かれた文が読めるようになったり、書けるようになったりする。平仮名を文字と認識していなかったら、言語音との結びつきが確立されていなかったら、平仮名で書かれた文を読むことも書くこともできないということ。

楽譜を読むためには音符と音の関係をしっかり結び付けることが基本中の基本。ドレミファソラシドの音を知らなければ、音符を見ても、単なるおたまじゃくしみたいな記号でしかありません。また五線譜上のドを表す音符を見て、【ド】という音に変換できた時、その音符を読んで演奏ができるということ。

平仮名は、どうだろうか?【あ】という文字を見た時に『あ』という言語音に頭の中で変換されているのであれば、その人は【あ】の文字と『あ』の言語音の結びつきが確立されているということ。この文字と言語音(音韻)の結びつきができていないと、読み書きを行うのは難しいのです。

何が言いたいかというと、文字の読み書きに先走る指導者や保護者がいるけれども、文字と言語音(音韻)の結びつきがしっかりできていないと、いくら子どもに平仮名を読ませようとしても、書かせようとしても、その場限りだということです。五十音表を『あ』から順番に繰り返し読み上げることだけではなく、ランダムに文字を読んでみたりすることも必要です。呪文のように唱えているだけの「あいうえお」が言えても、文字と言語音の結びつきができていない子は、ランダムに提示された文字を見て、読み上げることができません。

幼児日本語教育のアプローチとして、平仮名や片仮名の文字と言語音の結びつきを強化するようなアクティビティを考えてみると良いですね。

子どもって文字が何のためにあるのか、どういう使い方をするのかって知っているのかしら?

大人は文字の便利さ、使い方、役割っていうのを理解しているからこそ、何かを伝える時、書き留めておきたい時に文字を使用しています。

例えば、上記で出てきた楽譜を読む時に、音符が読めない人は音符の下にカタカナで「ドレミ」の音階を記載する人がいますよね。これは、楽譜を譜読みする時に、ドレミの音階を聞いたり、自分で時間をかけて音符を1つずつ読みながら日本語のカタカナでメモするという作業。ピアノを習っている幼稚園生がスラスラと楽譜が読めないからと言って、楽譜の音符の下にカタカナでドレミの音階をメモするのか・・・。おそらくしていないでしょう。何故?まだカタカナが書けないという意見もあるかも知れません。それなら、平仮名が書けるなら平仮名で書いても良いですよね?しかし、そういうことではありません。幼児期はまだ文字の役割をきちんと理解しておらず、使い方もいまいちわかっていません。もしかすると文字を読みあげることができるかも知れませんし、文字を書くこともできるかも知れません。しかし、読んで理解しているのか、何かを伝えるため、文字で残しておきたいから書いているのかというと、ただ文字を読んだだけ、ただ書いただけというのが幼児期というレベルです。もちろん個人差があるので、早い段階から文字に興味を持ち、文字の使い方を獲得できる子どももいるかも知れませんが、文字を知ることでこんなことがわかるんだよ、文字が書けることでこんなことができるんだよっていう感動を子どもに与えてあげられるようなアプローチがあると、文字そのものに興味を持って、読み書きに繋げていけるようになると思います。

日本語の平仮名と片仮名の文字の読み書きに必要な条件としては、文字と言語音の結びつきをしっかり確立すること。幼児日本語教師の皆さんは、どんなアクティビティをしたら良いのか、考えてみましょう。

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ひらがなカード

【継承語教育】文字探しゲームに挑戦

前回の記事で、継承日本語教育においては、特に日本語の文字環境を整えることが大事というお話をしました。今回は幼児日本語教師のお教室でも家庭でも簡単に取り入れられる【文字探しゲーム】をご紹介します。

教材として用意するものは、物の名前をひらがなやカタカナで書いた言葉カードです。

今回は、お教室の室内に隠れている『言葉カード』を探すという、宝探しのようなゲームです。

子どもの日本語レベルは、さまざまですよね。この文字探しゲームは、文字に興味を持ってもらうことが目的としているので、まだ平仮名や片仮名が読めない段階の子どもでも大丈夫です。

このゲームは、文字を読むことが目的ではないのです。

文字を探すことが目的です。

先ず、言葉カードを用意するのですが、室内にあるものから適当に子ども達が普段の生活やお教室内で見聞きしていて、知っているものが良いですね。

言葉カード

今回は、『つくえ』『いす』『スイッチ』『ほんだな』『とびら』にしました。『れいぞうこ』のカードも作ってしまったのですが、お部屋の外に出なくてはならないので、今回は使いません。

それぞれの言葉カードが2色用意したのですが、例えば兄弟姉妹、複数人のクラスの場合、言葉カードを1枚にしてしまうと、カードの取り合いが起こったりしてトラブルを招きます。全員の子どもがカードを見つけられたという達成感を得てもらうために、はじめは全員分のカードを色分けして用意しておくと良いでしょう。今後、早く見つけた人が勝ち~などの競い合うゲームに展開していくときには、もちろん複数枚同じカードを用意する必要はありません。今回は、文字に興味を持ってもらうという目的もあるため、全員分のカードを用意しています。

言葉カード『ほんだな』を貼ったところ

言葉カードは、事前に室内の家具などに貼っておけるのであれば貼っておくと良いですね。何気なく目に入るようにお教室ではタームの始め、ご家庭の場合はアクティビティを始める数週間前や数日前から貼っておくと良いかも知れません。長期間、貼っておくことができるのであれば、子ども達に日本語の文字が目に入るようになるので、おススメです。こうして言葉カードを家具に貼っておくと、気が付く子は、直ぐに「これ、なに?」って聞いてくるかも知れません。子どもの観察力というのは、大人が驚くくらい鋭く、よく色んなものを常日頃、見ているものです。もしこちらがアプローチする前に、子どもの方から言葉カードに興味を持って、先生や親に聞いてきてくれたら、それは嬉しい反応ですよね。聞かれたら「『ほんだな』って書いてあるよ。本棚の『なまえ』が書いてあるんだよ。」って年齢に応じて伝えてあげると良いでしょう。「みんなにも名前があるのと同じで、物にも名前があるんだよ」っていうのを知ってもらうところからスタートしていくと、2~3歳児くらいだと「これは?」「これは?」と指差しながらの質問攻撃が始まるかも知れませんが、それも意図的に文字に興味を持たせるよう大人が仕掛けているので、お子様にお付き合い頂ければと思います。

言葉カード『スイッチ』を貼ったところ

ゲームの準備の際には、上記の画像のように人数分の言葉カードを貼っておきますが、室内の文字環境を整えるために日常的に言葉カード・文字カートを貼っておくのというのであれば、1つのカードで十分ですね。

それでは、文字探しゲームのやりかたです!

このゲームは、何度も言うように【文字に興味を持ってもらう】ことが目的となるので、子ども達がこのゲームに取り組む時点では、平仮名が読めなくても、カタカナがあることすら知らなくても、全く関係ありません。

文字は、子どもからしたら図形みたいなものです。〇、△、□、★、♡と同じように『あ』という文字を見ているかも知れません。先ずは、文字の形をよく見て、観察し、同じ文字を見つけてもらいます。

今回は、小学1~2年生で現地語の英語のアルファベットの読み書きが始まっている子ども達が対象としています。したがって、物に名前があるということは当然知っていて、日本語の読み書きの学習を始めるにあたって、少しずつウォーミングアップをしながら日本語の文字に興味を持ってもらう、日本語の文字でどう物の名前が表現されるのかっていうのを知ってもらうアプローチになります。

① 今回のゲームでは、出題する時に先生または親御さんは、「ほんだな」とか「いす」とか言葉を発しなくて良いです。「これと同じカードをお部屋の中から探して来てね」と子ども達に指示していきましょう。何故、「ほんだな」と言わないのかというと、ここでのアクティビティは既に「ほんだな」「いす」「つくえ」などお題で出される物の名前は既習事項とします。日常生活の中でよく聞いて、見ている物になるので、「ほんだな」と先生が言ってしまうと、文字カードを見ずに、本棚へ一直線に走り、「あった!」と得意げに訴えてくると思います。今回は、「文字」に焦点を当てているので、発声するのは正解が出てからにするとして、出題する時点では物の名前は言わないようにしています。もちろん、臨機応変に応用しながらアクティビティをアレンジすると良いと思うので、みなさんも色んなやり方を試してみると良いと思います。

出題カード『いす』
出題カード『とびら』

出題カードを子どもに提示しながら「これと同じカードをお部屋から見つけて来てね」と伝えます。1枚のカードを提示して、クラスや兄弟姉妹が一斉に同じ場所へ向かっていくことを想定すると、これもまたぶつかったりとかしそうだなって思う場合は、上記のように色別でカードが用意されているので、「ケイちゃんは、これと同じカードを探して来てください」とオレンジのカードを提示する。そして、「ジェイくんは、これと同じカードを探して来てください」と緑のカードを提示します。各子どもに別々のお題を出すというのは、これも年齢によって指導者が配慮すれば良いと思いますが、子どもというのは賢いので、周囲の人の行動をよく見ています。本当は、何をするのか理解していなくても、周りのお友達が動いている様子を観察し、何をすれば良いのか読み取って行動するということが出来てしまいます。そうやって真似をしながら色んなことを学んでいくので、とても必要なスキルですから見守ってあげると良いと思います。しかし、指導者や親御さんがその子どもの行動によって、「この子は出来ている」と勘違いする時もあります。そういうことも想定し、それぞれの子どもに違うお題を出して、自分で問題を解決してもらう能力を付けていけるよう配慮していくというアプローチ法もあるので使い分けていくと良いですね。

また先生や親のところに出題カードを置いたまま、子どもたちが出題カードをしっかり観察して室内を探索しに行くというやり方もありですし、年齢が小さい子や、まだ文字に触れたばかりで文字の識別が難しい、覚えられないだろうなっていう子どもの場合には、出題カードを手渡し、自分でカードを持ってそのカードと同じ文字が書かれたカードを部屋の中から探すという方法にすると良いでしょう。ここは、子どものレベルに応じて対応していくと良いですね。

言葉カード『椅子』を貼ったところ

② 子ども達がカードを見つけたら、カードを剥がして持ってこれるようにしても良いでしょうし、見つけた場所を先生に教えに来てもらうという方法でも良いと思います。

今回は、引っかけ用の言葉カードは入れていませんが、子ども達の文字への興味が出てきて、文字の識別トレーニングを強化する際には、引っかけカードを入れておくのも良いですよ。例えば、『つえく』『ほんたな』『こす』『スノッチ』『とひら』など、1文字だけちょっと違う言葉カードを引っ掻けカードとして入れておくと、ゲームも盛り上がります。

③ 全員が1つめの出題カードと同じカードをそれぞれ持ち帰って来たら、そのカードが何のカードか答え合わせをしていきます。先生が「ケイちゃんのカードは、どこにありましたか」と質問すると、カードが貼ってあった椅子の方を指差して「いす」と答えました。そして、先生が「ケイちゃん、すごいね。そう、これには『いす』と椅子の名前が書いてあります。」と伝えながら、『いす』のカードをしっかり子ども達全員に見せていきます。ここで、平仮名、片仮名の文字を見せながら、1文字1音であることを子ども達にわかるよう、『いす』のカードを見せて、指で1文字ずつ示しながら「い・す」と言いましょう。1文字1音って気付かせること、これもとても大事です。

言葉カード『とびら』を貼ったところ

そして、次に「ジェイ君のカードは、どこにありましたか」と質問し、ジェイ君が言葉を発することなく指差しだけで、あっちとカードがあった方を示しました。そこで先生は、「どこかな。先生を連れて行って」と言って、その場所を教えてもらいます。そして、「ジェイ君、これ何て言うか知ってる?」と扉を開けて聞いてみると、ちょっとわからない様子。先生「ちょっと難しかったね。ケイちゃんはわかるかな?」と聞いてみると「ドア」とケイちゃんが答えました。そこで先生が「そうだね、ドアとも言うね」。そしてジェイ君に「文字の数を数えてみてくれる?」と頼むと、ジェイ君が「いち、に、さん、3こ」と答えてくれました。先生が「そうだね、3つの文字がここにあるけど、『ドア』だと2つの音だから、ここに書いてある言葉は『ドア』ではないんだよ。難しいから先生が教えてあげるね。これは、『とびら』って言うの」と言って、指で文字を1つずつ指しながら伝えます。

④ 次のお題です。。。ということで、また2人の子ども達に出題して、同じように同じ文字を探して戻ってきてもらい、言葉カードの確認。そうやってゲームが進んでいくと、ケイちゃんのお題カードに『とびら』が出てきました。さっき、『ドア』って答えていたケイちゃんは、『とびら』を覚えているのかなって思いながら見守っていると、新しく学んだ単語というのは印象が強いのか、一目散に『とびら』のカードをとりに行きました。場所は覚えていたのかなって思いつつも、「ケイちゃん、これと同じ文字カードはどこにありましたか」と質問すると、あっちとキャビネットの方を指差して、自信満々に「とびら!!」って答えてくれました。ジェイ君も僕だってわかってるよっていう様子で「とびら」って発声してくれたので、2人にとって「とびら」という単語がこの日の新しい単語の習得になったようです。

⑤ 同じ日に行わなくても良いのですが、文字探しゲームでお題カードと同じカードを室内から探して持ってくるということができるようになってきたら、次は物に名札を付けようゲームに展開していきます。先生も生徒たちも自分の名前の名札を付けて、今度は物に名札を付けてあげようというアクティビティです。先程使ったお題カードを提示して、子ども達が持っている言葉カードの名札を物に付けてあげる(元に戻す)という作業になります。ここは、2人で協力し合いながらやっても良いと思うので、『ほんだな』『スイッチ』『とびら』『いす』『つくえ』の5枚のカードを自分達で考えて貼りに行きます。二入とも『とびら』は印象的だったのか、すぐに貼りに行く事ができました。『スイッチ』もすぐに貼れました。どうしてかなって思ったのですが、このカードだけがカタカナ表記になっているので、他とは違うということを子ども達が認識していたのでしょう。そこで、子ども達に「このカードは覚えやすかったの?」って聞いてみたら、小さい『ッ』を指差して、どうやら視覚でしっかりカードを観察し、他のカードには無い促音に注目したということでした。素晴らしい!

わからないカードは、先生に聞きに来て良いよって伝えておいたので、直ぐに子ども達が「先生、これ」と『ほんだな』のカードを出して来たので、先生は手拍子で4拍叩いて「ほんだな」を音で表現しました。日ごろから「絵本は、本棚にお片付けしましょう」と聞いている子ども達は、さすがです。4拍の手拍子でピンと閃いたようで、「ほんだな!」と叫んで、貼りに行きました。

今回の文字探しゲームでは、文字を観察して同じ形、同じ並びの単語を探すというものでした。また、ひらがなとカタカナの清音は1文字1音になっているというということにも気が付いてもらえるようなアプローチも入っていました。色んな言葉カードを使ってゲームを進めていくうちに、「このカードのこの文字と、あのカードのあの文字が同じ」と気がついたり、「いす」の『い』と「いちご」の『い』が同じだと気がついて行きます。そうすると色んな場所で文字探しが始まり、文字を読むというトレーニングが着々と積まれていくようになります。やがて、「い」と発声する音は、『い』という文字で表記できるということが理解できると、自分の発する言葉を文字で表記したいという気持ちが湧き、文字を書くというモチベーションに繋げていけるようになります。

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平仮名マグネット

文字環境を整えることが、文字への興味に繋がる!

子どもに文字に興味を持ってもらうためには、どうしたら良いのだろうか?

子どもが初めて何らかの文字を見た時、どう思うのだろうか。日本語の文字を初めて見た時、これが日本語ってわかるのだろうか?文字と認識しているのかな?

図形の認識能力というのは、生後1週間の赤ちゃんでも持っている能力だと研究でわかっています。赤ちゃんは、生後まもなく五感を使いながら色んな刺激を通して常に学習しています。赤ちゃん用の玩具でも図形を使ったものが多く、型はめの玩具、積み木、かたちを扱った絵本など、色んな図形を見て図形認識力を高めていきます。これが後の文字の識別に活きてきます。色んな図形をよく見て観察する能力が身に付いていかないと、文字の識別は難しいというのは想像できるかと思います。平仮名で言えば「あ」と「お」、「し」と「つ」、「れ」と「わ」など似ている文字がありますね。これら1文字ずつをしっかり目で見て観察して識別する力が無いと、「あ」も「お」も同じように見えるし、「わ」も「れ」もどこが違うのかわからないとなってしまいます。文字も図形みたいなもの!乳幼児にとったら初めて見る文字は図形でしかありません。将来、文字が読めるようになっていくためのトレーニングは、赤ちゃんの頃から始まっているとも言えます。図形、写真、イラストだけでなく、文字もたくさん見せていくと良いですね。

家庭内の文字環境を整えていこう!

乳児の頃からの絵本の読み聞かせが重要なのは、皆さんもご存じの通りかと思います。非日本語圏に住んでいるのであれば、意図的にでも日本語の文字を子どもの目につくように文字環境を整えていくことも大事なポイントになります。

「読み書き」を一緒に考えてしまう方がいるかも知れませんが、「読む」「書く」は別々のスキルになります。一緒に考えず、分けて考えるようにしていきたいですね。

非日本語圏に生活していると現地の幼稚園や小学校に入学して、現地語の文字学習が始まる前に日本語の文字学習を始めたい、できれば就学前に日本語の読み書きを・・・と焦る親御さんもいるかも知れません。しかし、先ずは「読み」からです。読むことができるようになってから、書くことをはじめていっても遅くはありません。読めない文字を書くことって、単にコピーしているだけの作業です。しっかり平仮名や片仮名が読めるようになってから、書く練習に進んでいくと良いでしょう。

日本語っで珍しい言語です!!

日本語は、『ひらがな』、『カタカナ』、そして『漢字』を文章の中で併用するとても珍しい言語です。

日本語には、【表音文字】と【表意文字】の2タイプがあるのを知っていますか?

【表音文字】とは、『ひらがな』と『カタカナ』のこと。

【表意文字】とは、『漢字』のこと。

【表音文字】は、見た通り『音』を表す文字です。『ひらがな』と『カタカナ』の清音は、1文字1音とわかりやすいですね。例えば、「りんご」の音韻は『り』『ん』『ご』の3つの文字と同じ数なので3音となります。一文字ずつをきちんと文字を追って発声できれば、「りんご」と読み上げることができます。片仮名も同じですね。「リンゴ」の一文字ずつを音で表して発声すれば「リンゴ」になります。だから、日本語のひらがな、カタカナは、アルファベットを使う言語よりも簡単に読めるようになってしまうのです。

日本在住の幼稚園児や保育園児が小学校入学前に平仮名や片仮名を読めるようになる時期が早まっているという研究データが出ています。どうしてでしょう?

そういうと、幼児教育で「平仮名のなぞり書き」や「ワークシート」を取り入れているんでしょ~!って言われそうですが、いいえ、そうではありません。

文字環境を整えることで子どもが文字を目にする機会が増えていきます。日本で生活している子ども達は、私たち親世代が子どもだった頃と比べると、生活の中で文字に触れる機会がとても多く、充実していると言えます。特に日本では、生活の中で日本語だけでなく、アルファベットにもたくさん触れられる環境になってきていますよね。幼稚園児や保育園児が誰かに教えてもらったわけでもないのに、いつの間にか、平仮名の文字を覚えたり、「先生、これAって言うんだよ~」って自信満々にアルファベットの読み方を教えてくれたりします。

非日本語圏で日本語の文字を見る機会は、どのくらいあるでしょうか。日本人が多く訪れる観光地であれば、もしかすると日本語の案内があったりするのかも知れませんが、日本を一歩出れば、日本語というのは少数言語となります。非日本語圏で日本語表記と言えば、日本食レストラン、お寿司屋さん、ラーメン屋さんくらいしかないっていう町もあるかもしれません。日本に住んでいる子どもであれば、自分の名前に使われている文字を外で発見すれば、「はなちゃんの”は”があった~」って嬉しそうに教えてくれたりしますが、非日本語圏ではなかなかそういう話は聞かないですよね。日本語の文字に触れる機会が圧倒的に少ない海外在住の子ども達は、本当に意図的に文字に触れる機会を作らないと、文字に興味を持つことが難しくなります。

それでは、どうしたら良いのかしら?

やはり家庭内で日本語の文字環境を作る必要があるのかなと感じます。例えば、ひらがな五十音表を壁に貼ってみたり、絵本の表紙が見えるように本棚の使い方を工夫してみるのも良いですね。

日本だと子どもの持ち物に日本語で記名がしてあります。日本の幼稚園や保育園の園内では、自分の名前やお友達の名前が色んなところで見ることが出来ます。靴箱、カバンかけ、ロッカー、コップ、ハサミ、粘土板、クレヨン、名札、通園バックなど、色んなところに記名がしてあるので、文字に触れる機会がたくさんあります。

海外在住の子ども達はどうでしょうか?家庭の靴箱、カバンかけ、クローゼット、子どものカバンなどに日本語で記名してあるでしょうか?おそらくしていないですよね。

子どもが家庭内にある色んなモノの名前を発するようになってきたら、例えばテレビに【テレビ】と書いたメモやポストイットを貼ったり、冷蔵庫に【れいぞうこ】と日本語で書いて貼ったり、ちょっとだけ工夫すると、意図的に文字が目に着くようになります。子どもが「これなあに?」って聞いてきたら、興味を持ちだしたなってことで、「れいぞうこ」って書いてあるよって読んであげると良いですね。その時に、1文字1音であることを伝えるために文字を指で示しながら「れいぞうこ」って読んであげると、「れいぞうこって文字でこう書くのか~」って発見してくれます。

平仮名や片仮名は、表意文字なので、音を表しているというのは前半に伝えた通りで、子ども自身が自分の発する「れいぞうこ」の「れ」の音が【れ】と文字で表現できると理解してもらうことって、文字に興味を持ってもらうための第一歩になります。

海外生活の場合は家の中に日本語の文字環境を意図的に作り出す必要があるので、ポストイットやメモを家中に貼るってインテリア的にどうなの??って悩むところもあるでしょうね。先ずは、子ども部屋からはじめてみても良いのではないでしょうか。ひらがな表、カタカナ表、【ドア】【かべ】【まど】【つくえ】【いす】など、子どものお部屋の中にある家具などに『名札』を付けてあげると良いですよね。

ゲームをしながら文字の識別能力を確認していこう!

貼ってある家具などの名札と同じ文字カードを作成し、『同じ名前を探そうゲーム』を家族みんなで取り組んでみても良いと思います。まだ文字が読めなくても、読める親御さんが読んであげたら良いですし、文字カードと同じ形で書かれた名札の貼ってある家具をお部屋から探すことからスタートしていくと良いのではないでしょうか?何度か繰り返して行い、慣れてきたら「引っかけ文字カード」を用意すると良いですね。例えば、【つくえ】を【つしえ】とか似ている文字を使った文字カードを入れておいて、書かれた文字をしっかり識別して「違うな」って子ども自身が気が付いてくれるように導いていきたいですね。

人間は、乳児期から色んなモノを見て識別していきます。形が違うということ、色が違うということ、大きさが違うということ、顔が違うということ。色んな違いに触れることで、観察力が研ぎ澄まされ、識別する能力が長けて行き、やがてその能力が学習へと繋がっていくと考えると、乳児期から色んなモノを見せていきたいですね。

日本に住んでいれば、絵本が平仮名だけで書かれていたとしても、生活の中でカタカナも漢字も目にすることができます。海外で育つ子どもが日本語の読み書きでつまづく大きな原因として、日本語の文字環境の乏しさがあげられます。ひらがなとカタカナがしっかり読めないのに漢字が導入されたら、混乱してしまいます。読めなくても漢字は文字として認識してもらうために早い段階から見せていくことは大事ですが、書かせるのは平仮名とカタカナがしっかり読めて書けるようになってから、漢字の書き方練習を始めていきたいですね。書き方は本当に読みが出来てからで大丈夫です。無理に書かせて日本語が難しい、日本語の勉強が嫌って嫌悪感を持たせることの方が怖いです。子どもは、読めるようになったら書いてみようと自ら挑戦しようとするので、焦らずゆっくり進めていきましょう。

子どもの文字環境を整えて、文字に興味を持たせ、やがて読みと書きへとつなげていけるよう、導いていけるといいですね。

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