『ハイブリッド言語』を使用する子ども

幼児日本語教師が指導する子どもたちの多くが、乳幼児期から複言語環境で育っています。このような子どもたちの言語環境では、『ハイブリッド言語』が育つ環境ともいえるでしょう。英語圏で生活しながら日本語習得を目指している子、フランス語圏で生活しながら日本語習得を目指している子、中国語圏で生活しながら日本語習得を目指している子など、個々の子どもが生活している言語圏は違えども、『日本語も他言語も』どちらも生活の中に存在し、どちらの言語もほぼ同時期に発達していくものです。

バイリンガルやマルチリンガルも二言語や多言語を使用する人を示しますが、『複言語』という言葉をKJLTIAが使用しているのは、冒頭で述べた通り、日本語も他言語もどちらも生活の中に存在し、どちらの言語も共に発達していくことを表しています。

このような子どもたちは、将来、子ども自身が使える自分の言語は、『ハイブリッド言語』になる可能性を秘めています。だからこそ、幼児日本語教師を目指す方にも、複言語環境で子育てしている親御さんにも、子どもの言語発達の時期や言語環境について、それぞれ個別にしっかり目の前の子どもや生徒と向き合いながら、幼児日本語教育を進めていきたいものです。

『ハイブリッド言語』とは?

『ハイブリッド言語』という言葉を初めて聞く人もいるかも知れません。ハイブリッド言語とは、言語Aも言語Bも自分の言語として、それぞれの言語が影響を与えながら、両言語を自由に使えるようになることを言います。

モノリンガル(一言語)で育った人への説明も難しいし、ある程度の年齢になってから他の言語を身に付けバイリンガルになった人も、もしかしたら理解が難しいのかも知れません。

みなさんがよく知る『ハイブリッド車』。これを例にして考えてみましょう。

ハイブリットカーは、ガソリンと電気を使って走る車であることは、みなさんもご存知の通り。ハイブリッドカーの動力には、①燃料を燃やして動くエンジンと、②電機によって動くモーターの2種類です。この2種類のエンジンとモーターを組み合わせて動くのが『ハイブリッドカー』です。

上記のハイブリッドカーの動力を言語に置き換えて『ハイブリッド言語』を説明してみましょう。ハイブリッド言語は、言語Aと言語Bを組み合わせた言語活動と理解できるのではないでしょうか。例えば、日英のハイブリッド言語の言語能力は、①日本語を使った言語活動と、②英語を使った言語活動の2つの言語です。この2つの日本語と英語を組み合わせてコミュニケーションする能力が『ハイブリッド言語』と言えるでしょう。

親と子では、幼少期の言語環境が違う

非日本語圏に移住した日本人の移民1世は、もともとは日本で生まれ、日本で教育を受けてきたので、日本語は母語、母国語と自覚していると思います。移民1世の親たちが非日本語圏で子どもを産み、育てる際、その子どもたち(2世)は、日本国外で生まれ、非日本語環境で育っていきます。日本で育った親と子どもが育つ国の言語環境が異なるということです。整理してみましょう。

- 移民1世の親は、日本という日本語圏で日本語を母語・母国語として身に付けて行きます。

- 移民1世の子ども(2世)は、非日本語圏で日本語を母語(継承語)として身に付け、それと同時に居住国の言語を母国語として学んでいきます。

こうした日本にルーツのある子どもや、日本にルーツが無くても母語形成期の言語発達期に日本に長期で滞在している子どもにおいては、日本語も他言語もというハイブリッド言語使用者になる可能性が高いことを理解し、子どもの言語教育のサポートをしていきたいものです。

幼児日本語教師も子どもに日本語教育を与える保護者も、幼児日本語教育を学んでハイブリッド言語を使用する子どもを育てよう!

ハイブリッド言語を使用する子どもを育てる

子どものハイブリッド言語能力を育てていくためには、子どもの指導者となる幼児日本語教師は「ハイブリッド言語」を理解しながら幼児日本語教育を進めて欲しいものです。日本語も他言語もうまく融合させながら、子どもたちが日本語も現地語も「自分の言語」として自信持って使用できるよう、サポートしていくことが大切です。日本語よりも現地語の方が使いやすくなるのは、言語バランスの比重が現地語の方に偏っていれば仕方ないことです。「日本語で話しなさい」と子どもに言っても、話せるのであれば話します。

それでは、どうアプローチしたら良いのか?

幼児日本語教師養成コースの受講生は、ご自身の子どもの特別な幼児日本語教師になろうと学ぶ方がたくさんいます。幼児教育の教材を日本から取り寄せている方も多いと思いますが、やり方を間違えれば、子どもが日本語を嫌いになってしまいます。継承語教育のためにアプローチしているのに、我が子の日本語嫌いを促すことは避けたいですね。

ハイブリッド言語を使用する子どもに育てるために、あなたも幼児日本語教師養成コースで【幼児日本語教育】について、学んでみませんか?

5月の幼児日本語教師養成コース – 幼児日本語教師協会 (youji-nihongo.com.au)

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幼児期に家庭でできる語彙学習のポイント

幼児期に家庭内でできる語彙学習のポイント!

母語や継承語に関係なく、幼児期は日常生活の中でたくさんの言葉に触れていく大切な時期です。集団活動が始まるまでの期間というのは、家庭という小さなコミュニティーの中で子どもは日々学んでいきます。保育園や幼稚園が始まれば、同じ年のお友達や園の先生たちとのコミュニケーションを通じて、子どもは多くの言葉を獲得していきますが、それまで何もしなくても良いのかしら?家庭でも子どもの語彙力アップを促すアプローチは、色々とあります。語彙学習のポイントをまとめてみたので、取り組めそうなことから、はじめてみてはどうでしょうか?

会話を多くする
1. 会話を多くする

例えば、家族が一緒に食事をする際に、幼児に対して「今日は何食べたい?」と尋ねたり、「これは、どんな味がするかな?」と話題を振ったりするのも良いですね。また、散歩や買い物に出かける際にも、幼児に対して周りの景色や物事について話しかけることもできるでしょう。日常生活の中で、幼児と積極的に会話をすることで、幼児の語彙を増やすことができます。ただし、無理に会話を増やす必要はなく、自然な形でコミュニケーションをとることが大切です。

簡単な言葉を使う
2. 簡単な言葉を使う

幼児には簡潔でわかりやすい言葉を使うことが大切です。煩雑な説明や複雑な言葉を避けることが重要です。言葉のレパートリーを増やすためとは言いつつも、「この赤くて丸い果物は、りんごという果物だよ」と説明するのではなく、「これはりんごだよ」と簡潔に言うことが、幼児にとって理解しやすくなるでしょう。

会話を繰り返す
3. 会話を繰り返す

例えば、幼児が新しい言葉を覚える際に、保護者や家族はその言葉を何度も使って繰り返し言い聞かせることが大切です。上記で提示した通り、幼児には簡潔な言葉で伝えることが最初のステップとなります。その後、その言葉の意味を説明し、関連する単語や文脈を示すことも有効です。例えば、「りんご」の言葉を聞いて幼児がどの果物のことか理解している様子であれば、次に応用編で「これはりんごだよ。赤くて丸い果物だよ。おいしいよ。りんごジュースもあるよ」と、りんごという言葉を繰り返し、関連する単語や文脈を示すことで、幼児の語彙を増やすことができます。ただし、過剰な繰り返しや無理に理解させようとすることは避け、自然な形で行うことが大切です。

資格的な手掛かりを与える
4. 視覚的な手がかりを与える

例えば、幼児がテーブルの上にあるりんごを見て、「りんご」という言葉を聞いた場合、保護者や家族はりんごを指しながら「これがりんごだよ」と言うことができます。また、絵本を読んで物事を説明する場合には、絵に合わせて物事を指しながら言葉を説明することも有効です。これによって、幼児は物事と言葉を関連付けることができ、言葉の理解を深めることができます。視覚的な手がかりを与えることは、幼児の興味を引くことができるので、楽しく学習することができます。

幼児の興味や関心に合わせる
5. 幼児の興味や関心に合わせる

例えば、幼児が動物が好きな場合には、動物に関する語彙を教えたり、動物園に行って実際に動物を見せたりすることができます。また、幼児が興味を持っているおもちゃや遊びに関する語彙を教えることも有効です。幼児が興味を持っていることに合わせて語彙を教えることで、幼児は自然な形で語彙を学び、学ぶことが楽しくなります。これによって、幼児は自分自身で学習する意欲を持ち、より効果的な語彙学習が可能となります。

楽しく学ぶ
6. 楽しく学ぶ

例えば、お絵かきやクレヨンなどを使って色や形を学んだり、色々な動物の鳴き声を一緒に言ってみたり、かるた遊びを一緒にしながら物の名前を覚えたりすることが楽しく学ぶ方法としてあげられますね。また、幼児の好きな絵本や歌を一緒に楽しむことも、語彙学習につながります。楽しく学ぶことで、幼児は自然に興味を持ち、学ぶ意欲が高まります。

意識して取り組むことが大切!

上記であげた6つのポイントは、特別なことではなく、日常生活の親子の関わりの中で日々、取り組んでいることかと思います。子どもにとって、母親の言語と父親の言語が異なるとか、現地語と家庭言語が異なるとか、個々の子どもによって、個々の家庭によって、言語環境は違います。

共働きをしていて、親子で関わる時間が限られているという方もいるかも知れません。それでも、子どもが寝る前に絵本の読み聞かせをして、日本語に触れる時間を作ったり、家族団らんの食事の時に、食卓に並んだ食材について、日本語で伝えてみたり、意識して取り組むことで、子どもの語彙力アップにつながっていくことでしょう。

幼児日本語教師養成コースで幼児日本語教育を学んでみませんか?

2歳児検診や3歳児検診で子どもが発する言葉の数が他の子どもと比べると少ないかも?と指摘されたという親御さんの話をよく聞きます。複言語環境で育っている子どもの場合、モノリンガルの子どもよりも発話が遅れたり、発する語彙数が少ないと言われることは、よくあります。

モノリンガル環境で育つ子どもと同じ感覚で複言語環境の子どもの言語力をはかられたら、もしかすると現地語では発することが無かった語彙でも、日本語だったら頻繁で使っているという同じ語彙がある可能性もあります。例えば、日本語で「りんご」と認識し、りんごが出てくると「りんご」と発するけれど、英語で「Apple」とはあまり言わないということだってあるかも知れません。英語圏で「Apple」と発する頻度が少ないからといって、「言語に遅れがある」と言われるのも何だか違うのかな。

複言語環境で育つ子どもは、モノリンガル環境で育ってきた人たちと異なります。自分が習得してきた日本語と、非日本語圏で日本語を学んでいく子どもとは、異なるアプローチになるということを理解することも大切です。

幼児日本語教師養成コースの受講生は、ご自身の子どもの特別な幼児日本語教師になろうと学ぶ方が多いです。幼児教育の教材を日本から取り寄せている方も多いと思いますが、やり方を間違えれば、子どもが日本語を嫌いになってしまいます。継承語教育のためにアプローチしているのに、日本語嫌いを促すことは避けたいですね。適切な時期に適切なアプローチをすることで、子どもが無理なく日本語を習得できるようになれば、これは素晴らしいことですよね。

幼児日本語教師のレッスンを受講したり、日本語補習校に通ったりすることは、とても意味あることですが、それだけでは足りません。お教室や学校と家庭が協力し合うことで、継承語を維持し、伸ばしていくことに繋がります。

あなたも幼児日本語教師養成コースで【幼児日本語教育】について、学んでみませんか?

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言語発達のポイントは幼児期にあり!

「言葉の三大機能とは」

子どもの言語発達は、精神的にも社会的にも多様な機能を持っているため、発達という観点から複数の角度から見ることができます。

一つは、言語が伝達機能を持っているという観点です。伝達機能は、自己や他者を含む社会的環境に対して情報を伝えるために使用される機能です。これは、子どもが自分の意思を伝えるために使用することができるということです。 例えば、「お腹が空いた」と言うことで、お腹が空いたという意思を他人に伝えることができます。

もう一つは、言語が思考の道具となることです。思考の道具機能は、自己の内面や環境を理解するために使用される機能で、自己や他者に対して質問をすることにより、理解を深めることができます。子どもは言葉を使って自分の思考を表現することができ、自分自身や他人とのコミュニケーションを通じて、思考を共有することができます。

最後に、言語が行動調整機能を持つことです。行動調整機能は、自己や他者の行動を調整するために使用される機能で、相手に対して指示を出すことや自分自身の行動を言語で説明することができます。子どもは言葉を使って、自分自身や他人の行動を調整することができます。例えば、「絵本、読んで」と言うことで、他人に絵本を読むように促すことができます。

これらの三大機能は、子どもが言語を学習する上で重要な役割を担うため、子どもの言語発達を理解する上で重要な視点となります。

「子どもの言語発達について」

子どもの言語発達は、生後1歳から6歳頃までに急激に進みます。上記で触れた言語の三大機能で説明した通り、子どもの言語獲得は精神発達と広く深くかかわっています。

生後1歳から2歳頃の子どもは、繰り返しのフレーズを発するようになります。また、繰り返しのフレーズを使って、自分のニーズを伝えるようになります。「ママ」「パパ」など家族に対する呼びかけや、「いただきます」「おしっこ」など日常的な言葉を使うようになってきます。この時期は、まだ言葉の数は少なく、自分の意思を伝えるためには音声やジェスチャーを使用します。また、周囲の人々が話している言葉を聞いて、それらを覚えることで、言葉を習得します。

生後1歳半頃から1語の言葉を発するようになり、たった1語の単語で多様な内容を表すようになります。子どもの1語の発話は、受け手の側からすると1つの文と同じような機能を持つことから、「一語文」とも呼ばれます。この一語文にも3つの機能があり、幼児日本語教師養成コースの中で学んでいきます。

生後2歳から3歳頃の子どもは、話し言葉が洗練され、2語以上の文を組み立てるようになります。また、質問もするようになります。言語の理解力が向上し、周りの人々の話を聞いて理解する能力が身につきます。

生後3歳から4歳頃の子どもは、語彙が増え、大人との対話もしやすくなり、より詳細な話をするようになります。また、自分のことを認めるようになります。

生後4歳から5歳頃の子どもは、身近な話題で会話を続けることができるようになってきます。また、自分の言葉を使って自分の考えを伝えるようになります。

生後5歳から6歳頃の子どもは、自分が体験したことを言葉にして相手に伝えることができるようになってきます。

「小学校入学前に子どもの言語発達をサポートするためには」

小学校入学前に、他者とのやり取りを通じて多くの語彙を学ぶことは、子どもの言語発達に欠かせないことです。ゲームやクイズを使って、楽しみながら語彙を学ぶことも大切です。家庭でも、日常的に子どもと話をすることで、子どもの言語発達を促進することができます。

語彙は、言語の中で最も重要な部分の一つであり、小学校入学前に多くの語彙を身につけることは、将来学習を支援するために必要です。子どもが話すこと、聞くこと、読むこと、書くことをする上で語彙力は、不可欠な要素になります。子どもたちは、言葉を使って自分の感情や考えを表現することができるようになり、自分自身を理解することもできるようになりますからね。

また、子どもたちは、言語を通じて、自分自身や周りの人々について学ぶことができます。例えば、語彙を増やすことで、子どもたちは、自分自身や家族、友達、動物、植物、天気などについて学ぶことができます。

子どもが小学校に入学する前に、日常的に使用する単語を学ぶことができるように、家族や周囲の大人が子どもとのコミュニケーションを重視していくと良いでしょう。子どもに対して、自然な話し言葉を使用し、子どもが理解できるように説明をしましょう。それに加えて、子どもに適切な言葉を使用して質問をすることで、子どもが理解しやすくなります。

「幼児日本語教育では」

複言語環境で育つ子どもの場合、母語が2つになる子どももいるでしょう。また、母語と母国語が異なる子どももいるでしょう。このような複言語環境に子どもがいる場合、「日本語」と考えるのではなく、「日本語」と考えていきましょう。

幼児日本語教育では、「りんご=Apple」とは教えません。子どもの言語発達に沿ったアプローチでは、りんごという果物が「りんご」であり「Apple」であると子どもが認識しながら理解し学習していきます。

大人が第二言語を学ぶプロセスと、子どもが新しい言葉を学ぶプロセスは異なるので、幼児日本語教育と大人に日本語を教える日本語教育は、言語習得の理論も指導法も異なることから、同じ日本語教育であっても専門性は異なると言えるでしょう。

KJLTIAの幼児日本語教師養成コース

幼児日本語教師は、日本語を教える指導者ですが、バイリンガルやマルチリンガルの子どもに日本語を指導するため、子どもについてよく理解することが大切です。

日本語を学ぶ子どもたちは、たとえ日本にルーツを持っているとしても、日本で育って来た人や、日本で教育を受けてきた人とは、日本語の位置づけが異なります。

KJLTIAの幼児日本語教師養成コースでは、子どもの言語発達だけでなく、脳の機能、そして子どもの知覚・運動発達なども学びます。もちろん、バイリンガルやマルチリンガルについても深く学ぶことで、複言語環境で育つ子どもたちを理解し、個々の子どもに適した時期に、適したアプローチができるようになります。

本コースの受講生の多くが、「自分の子どもの日本語のため」に幼児日本語教育を学んでいます。「現地の言語の方が強くなってきて、日本語をどう教えたら良いのかわからない」という方は、本コースで子どもの言語発達について学び、バイリンガルやマルチリンガルについても理解し、そして楽しみながら子どもとどうやって日本語をのばしていくのか、前向きに子どもに向き合うことができたという方が多いですよ。

コース内で学ぶ指導法を取り入れたアクティビティを子どもにやってみたら、「もう1回やりたい」とリクエストが出て、日本語を楽しく学んでくれるようになったという声もあります。子どもは、楽しみながら、遊びの中での学びが、効率的に効果的に学ぶことができます。

幼児日本語教師養成コースに興味がある方は、是非、こちらからお問合せください。

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幼児日本語教師の指導する子どもは複言語環境で育つ!

子ども達は、日本語だけでなく、日本語【も】身に付けていく

KJLTIAの幼児日本語教師養成コース内では、幼児日本語教師が指導する相手は、日本語を学んでいるけれども、日本語だけではないんだよってディスカッションの中で話します。

ケーススタディーを通じて、多様な家族、子どもについて考えていきますが、そのディスカッションの中で皆さんに気が付いてもらうのが、子ども達は私たちとは違うよっていうこと。

「そんなこと言われなくてもわかっているよ」

っていう方もいると思いますが、頭でわかっているつもりでいるけれども、改めて考えてみると、「なるほど!」「確かにそうだ・・・」とディスカッションの中で気付く人が多いです。

幼児日本語教育で大切なのは、日本語を子どもに身に付けさせていくだけではありません。

「日本語」なのです。

こう書くと、「え?幼児日本語教師は、日本語以外の言語も指導するの?」って言われそうですが、そういうことではありませんよ。

幼児日本語教師が指導するのは「日本語」ですが、日本で育つ日本人の子どもと違って、日本語の単一言語話者(モノリンガル)を育てる日本語教育ではないということです。

KJLTIA複言語教育

重要なポイント!!:幼児日本語教育を受ける子ども達は、複言語・複文化環境で育つということを指導者も親も理解していなくてはならない。

私たちが指導する子ども達というのは、生まれた時から、または乳幼児期に1つ以上の言語に触れて育ってきている複言語環境にいる子どもです。

「バイリンガルに育てたい」「マルチリンガルに育てたい」という親の願望があるにしろ、幼児日本語教育を受けている子ども達というのは、親の願望云々というより、必然的にバイリンガルやマルチリンガルになる環境に置かれているということです。

日本で生まれ育ってきた親たちにとっては、なんて恵まれた環境なんでしょう!それならば、うちの子もバイリンガルやマルチリンガルに~って力が入ってしまうのは、よくわかります。

日本語環境があるからこそ日本語に触れて日本語が身についていくのであって、その日本語環境がなければ難しいものです。

家庭で幼児日本語教育に取り組む方、お教室に通う方、子どもの日本語教育の選択肢は今の時代、たくさんあると思います。

しかし、何度も言うように幼児日本語教育を受ける子どもは、【複言語・複文化】環境で育つため、この【複言語・複文化】について知っていることは、重要なポイントです。

日本人だから、日本語がネイティブレベルだから・・・それだけでは、幼児日本語教育に携わる指導者の専門性には欠けてしまいます。

日本の教員免許または保育士資格を持っているから~・・・というのも、日本語モノリンガルへの指導には長けているけれども、複言語環境で育つ子どもへの日本語教育においては、やはり幼児日本語教育の専門性を持っているとは言い難い。

KJLTIA幼児日本語教師

KJLTIA(幼児日本語教師協会)の幼児日本語教師養成コースでは【幼児教育】+【日本語教育】+【複言語教育】のハイブリッドな専門性とスキルを持つ幼児日本語教師になることを目指します。

幼児日本語教師は、日本語だけ子どもに教えれば良いというものではないのです。

幼児日本語教師が指導する子ども達は、乳児クラスであれば1歳前後から始まり、小学校入学後の児童期まで続きます。子どもの大切な時期に関わる指導者だからこそ、高い専門性と指導経験が求められます。

KJLTIAのプロフェッショナル認定幼児日本語教師は、それこそハイブリッドな専門職と呼ぶにふさわしい指導者です。KJLTIAの幼児日本語教師養成コースの基礎コースと上級コースを終え、最低100時間以上の子どもに日本語を教える指導経験を積み、KJLTIAの幼児日本語教師指導者認定試験に合格した人です。

プロフェッショナル認定幼児日本語教師は、教育機関やお教室の運営者、補習校の講師、日本語幼稚園、インターナショナルスクール、日本語レッスンを行う現地の幼児教育機関で活動している先生たちが多いですが、フリーランスで活躍している先生ももちろんいます。

上級コースを終えたアドバンスレベル幼児日本語教師と何が違うのか?

上級レベル幼児日本語教師も、幼児日本語教師として働くに必要な知識を得ていますが、子どもへの日本語の指導経験が100時間に達していない方なので、プロフェッショナルとはまだ言えないレベルです。

どこの国でも教員免許や指導者資格を取得するためには、教育実習があります。幼児日本語教師も指導経験というのは、とても重視しています。プロフェッショナル認定幼児日本語教師の資格取得者は、最低100時間以上の子どもへの日本語指導経験があることをKJLTIAが確認し承認しています。

今の時代、自分の得意を活かした働きができる世の中です。しかし、専門性の見極めは重要。資格や学歴だけでは判断できない部分も多いのですが、専門性と指導経験の有無は、指導そのものに出てきます。マニュアルが無いと指導計画が立てられないのは、まだ指導の経験値が足りないかな。100時間ほど指導経験を積んでいくと、その先生らしさというのが出てきて、同じテーマであっても使う教材が違ったり、アプローチの仕方やアクティビティにオリジナルが加わってきます。

みなさんもお料理ができると思いますが、レシピに沿ってお料理をするのと、プロの料理人が同じレシピ、同じ材料で同じものを作っても、何か仕上がりも味も違うのは、専門性、スキル、そして経験値ですよね。

子どもに日本語を教えようかな~って考えた人が最初は指導経験もなく、ただ日本語がネイティブだったり、日本語が得意なだけかも知れません。そこに専門性とスキル、経験値を得ることで、プロフェッショナルな幼児日本語教師に成長していきます。

KJLTIAの幼児日本語教師養成コースの中で、もちろん実技試験が各コースの最後にあります。基礎コースの時は初めての指導ですっていう方が、上級コースの実技試験で別人のように飛躍的に指導スキルが上達している人もいます。基礎コースの実技で受けたフィードバックをしっかり自分のものに落とし込み、上級コースで学んだことをプラスしたことによって大きく上達する人がいます。初心者の方は、吸収力も抜群でアドバイスされたことを自分のモノにしようと努力されます。指導経験者は、『幼児日本語教育』という視点で考え、自分の指導にアレンジしていくことで、さらに指導の幅が広がっていきます。

来週、上級コースの実技の提出になるので、受講生の皆さんの実技がとても楽しみです。

幼児日本語教育は、奥が深い

幼児教育の資格を持ち、海外で幼児教育者として活躍している幼児日本語教師養成コースの修了生が、幼児日本語教育は奥深いと言っていました。新しい分野を学ぶって楽しいです。

私も一人の幼児日本語教師として、そして幼児日本語教育の研究者として、日々奮闘しています。資料を読んで、こういうアプローチもあるのかな、こんな教材はどうだろうかって考えたり、時代が移り変わる今、そしてこれからの教育について考えるとほんとうにこの分野の学びは尽きることがないと感じます。

今もデスク周り、部屋のあちこちに走り書きされたメモがたくさん。アイディアが閃いた時に書き留めておくようにしています。このブログを書いているのも、実は別の幼児日本語教育の資料を作っている最中に「あ、みんなに伝えておきたい」と思い立ち、こうして書いています。

KJLTIAの幼児日本語教師養成コース

KJLTIAの幼児日本語教師養成コースでは、「幼児教育」+「複言語教育」+「日本語教育」を学びます。

子どもに日本語を教えてみたいというあなた、是非、幼児日本語教師養成コースで幼児日本語教育について学んでみませんか?

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「なんだろう?」「知りたい」「そうだったのか(わかった)」学びの3点セット

子どもが興味を示したら、自ら学んでくれるようになる!

子どもは、大人に比べると本当にクリエイティブで自分から何かを生み出そうとする能力に長けていますよね。

お砂場で遊んでいると、最初は穴を掘っているな~って思って見ていたら、穴を掘ってる時に掻き出した土の山が自分の隣りに出来ていることに気付き、その砂の山を成形しだして砂山作りに移行する。

砂山が完成すると、その辺にある物体を車なのか、電車なのかに見立てて、砂山の周りや上を走り出す。場合によっては、砂山の真ん中にトンネルを掘って乗り物を中に通そうとする。そして、砂山を作る前に掘っていた穴に乗り物が落ちてしまうシチュエーションを考えたり、砂が崩れてきた~という設定なのか?乗り物が穴に埋められてしまったり、場面展開が激しくて見ていても面白いものです。

誰かから「ここに穴を掘るといいよ」「お山を作ってみようか」「トンネルも掘れるよ」なんていう助言や誘導がなくても、子ども自身が遊びながら頭の中でストーリーを作って遊びを進めていくことができます。

そして、綺麗に作った砂山も頑張って掘った穴も、遊んでいるうちに跡形もなくなってしまうと、その遊びが終了する。

次は、何が始まるのかな~って観ていると、おままごとが始まったり、今までもずっとそこにあったのに、急に「いいもの見つけた~」みたいなキラキラした目で遊具に向かって走っていく・・・。

子どもの遊びって本当に忙しいですね・・・。

砂場での遊びの流れを考えても、子どもって本当にすごいです。お砂場セットが無くても、その辺にシャベルの代わりになるものが無いかな~って探す子もいるし、無ければ自分の手を使って穴を掘ったり、お山を作ったりします。道具がなくても砂だけあれば、それなりに砂場で遊びを生み出してしまう・・・すごいな~。

「なんだろう?」「知りたい」「そうだったのか(わかった)」の3点セットが重要。

子どもって、蟻が列を作って歩いているのを見ていたな~と思ったら、その列を追って蟻の巣穴を見つけてじっと観察してみたり、時には巣穴に棒を突っ込んだり、砂や石を入れてみたりします。ちょっと残酷さもあるけれど、穴があったら何かを入れてみたいって思うのかも知れませんね。

穴の中はどうなっているのだろうか?という「なんだろう?」という気持ちが湧いて、巣穴に棒を突っ込んでみたり、砂を入れて様子を見る。これは「知りたい」っていう気持ちが行動に出ているのでしょうね。そして、穴の中から蟻が砂を持って出て来るのを見て、ここは蟻さんのおうちなんだねって「そうだったのか(わかった)」と納得するのでしょう。

こうやって自分で何かに疑問を持ち、それを解決するために考え、答えを導き出すという力は、子どものうちから日々の生活でトレーニングされていくことなのかも知れません。

幼児日本語教育でも、子どもにワクワクしてもらいながら学べるレッスンアクティビティを考えていくと、子どもの日本語学習のモチベーションが上がっていくでしょうね。

漢字学習において、読めなくても子ども自身が漢字を見つけてきて「お母さん、これ何て読むの?」とか、「ここに漢字が書いてあるよ」って教えてくれることがあるかと思います。そういう時、「○○って読むよ」と教える方法もダイレクトで良いですが、時間がある時は一緒に調べてみるのも良いですね。

幼児日本語レッスンの中であれば、漢字1文字を提示して、その文字について子ども達と一緒に考えても面白いと思います。漢字を崩して分解してみると意味がわかるかも知れないとか、漢字の見た目から何がイメージできるのかって考えてみるのも面白いかも知れません。

漢字は「表意文字」なので、例えば【さんずい】を見て、『水』や『水滴』や『水しぶき』などの水を連想することが出来たら、「この【さんずい】が付く漢字は水に関係するものなんじゃないかな?」って、まるでなぞなぞを解くかのように気が付いてくれたら、漢字辞典を使うのが楽しくなるかも知れません。読めなくても漢字辞典で【さんずい】の付く別の漢字を探してみようって思えるかも知れませんし、子どもの発想は凄く面白いので、「水に関係するものだから・・・・【プール】ってどうやって漢字で書くか探してみよう~」なんて言い出すことも!!(笑)

漢字を学習してきている私たちは、「【プール】は漢字で書けないよ~」って思いますが、何も知らない子どもは何でも漢字で書けるって思うかも知れません。ルールは置いといて、子ども達と一緒に「プール」を漢字で書くとしたらどんな文字になるのか考えるっていうのは、凄く面白いでしょうね。

「プールってどういうもの?どういうイメージ?」から子ども達にイラストで描いてもらい、そこから漢字に変換してみても面白いかも知れません。いわゆる当て字みたいなものです。

また【プール】という漢字は日本語で持ち合わせて無くても、もしかしたら中国語ではあるかも知れないねって調べてみるのも面白い。

漢字って見た目からして難しそう・・・って拒否反応を示す子どもも多いものです。

覚えさせようとするのではなく、【この漢字は何だろう?】から始まり、漢字の形を見たり分解しながら、その漢字が表現している意味を考えてみると子どもなりに色んな発想で意見が出て来て、そんなやり取りをしているうちにその漢字が読めるようになってしまう・・・ということもあります。

「なんだろう?」⇒「知りたい」⇒「そうだったのか(わかった)」がインプット

この「そうだったのか(わかった)」までの流れは、みんなが検索作業でよくしていることです。大人もスマホでよく検索していますよね?

本題は「そうだったのか(わかった)」のインプットの後の応用編。

インプットだけだと人間はすぐに忘れてしまうので、インプットの後からのアウトプットに移行していきます。

調べた漢字を使って短い文を作ってみたり、熟語を探してみたりするのも、その漢字の使い方が学べるのでおすすめです。

さらにクラスのお友達同士や親子でその漢字を使った文を発表し合ったり、交換して読んでみることで、自分では見つけられなかった使い方を知ることが出来たり、人の例文を聞いたり読んだりして心に残ることもあるかも知れません。

これは幼児日本語教育に限らず、色んな学習に応用できることだと思います。大人から与えるばかりのアプローチではなく、「子ども中心アプローチ」で進めていく学習法、指導法をKJLTIAの幼児日本語教師養成コースでも学んでもらいますし、KJLTIAでは推奨しています。

KJLTIAの幼児日本語教師はハイブリッドな専門職!

KJLTIAの幼児日本語教師養成コースでは、「幼児教育」+「複言語教育」+「日本語教育」を学びます。

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文字と言語音の関係

文字と言語音の結びつきは、音符とドレミファソラシドの音の関係と共通している!

楽器演奏ができる人は、楽譜を読んで演奏します。音楽もある意味、言語と同じだと思いませんか?音符が文字の役割をしていて、楽譜は文章や物語と言えるのではないでしょうか。五線譜に並んだ音符を見て、ドレミの音階に変換できない人は、楽器を演奏することも難しいかと思います。楽譜が読めない人にとって、五線譜に並んだ音符はどんな風に見えているのでしょう。おたまじゃくしが並んでいる?模様?人それぞれ感じ方は違うにしても、音楽を学んできた人は、音符と音の結びつきを理解し、楽譜が読めるようになって楽器の演奏ができるようになります。

日本語学習で考えてみると、平仮名の文字と言語音の結びつきを理解することで、平仮名で書かれた文が読めるようになったり、書けるようになったりする。平仮名を文字と認識していなかったら、言語音との結びつきが確立されていなかったら、平仮名で書かれた文を読むことも書くこともできないということ。

楽譜を読むためには音符と音の関係をしっかり結び付けることが基本中の基本。ドレミファソラシドの音を知らなければ、音符を見ても、単なるおたまじゃくしみたいな記号でしかありません。また五線譜上のドを表す音符を見て、【ド】という音に変換できた時、その音符を読んで演奏ができるということ。

平仮名は、どうだろうか?【あ】という文字を見た時に『あ』という言語音に頭の中で変換されているのであれば、その人は【あ】の文字と『あ』の言語音の結びつきが確立されているということ。この文字と言語音(音韻)の結びつきができていないと、読み書きを行うのは難しいのです。

何が言いたいかというと、文字の読み書きに先走る指導者や保護者がいるけれども、文字と言語音(音韻)の結びつきがしっかりできていないと、いくら子どもに平仮名を読ませようとしても、書かせようとしても、その場限りだということです。五十音表を『あ』から順番に繰り返し読み上げることだけではなく、ランダムに文字を読んでみたりすることも必要です。呪文のように唱えているだけの「あいうえお」が言えても、文字と言語音の結びつきができていない子は、ランダムに提示された文字を見て、読み上げることができません。

幼児日本語教育のアプローチとして、平仮名や片仮名の文字と言語音の結びつきを強化するようなアクティビティを考えてみると良いですね。

子どもって文字が何のためにあるのか、どういう使い方をするのかって知っているのかしら?

大人は文字の便利さ、使い方、役割っていうのを理解しているからこそ、何かを伝える時、書き留めておきたい時に文字を使用しています。

例えば、上記で出てきた楽譜を読む時に、音符が読めない人は音符の下にカタカナで「ドレミ」の音階を記載する人がいますよね。これは、楽譜を譜読みする時に、ドレミの音階を聞いたり、自分で時間をかけて音符を1つずつ読みながら日本語のカタカナでメモするという作業。ピアノを習っている幼稚園生がスラスラと楽譜が読めないからと言って、楽譜の音符の下にカタカナでドレミの音階をメモするのか・・・。おそらくしていないでしょう。何故?まだカタカナが書けないという意見もあるかも知れません。それなら、平仮名が書けるなら平仮名で書いても良いですよね?しかし、そういうことではありません。幼児期はまだ文字の役割をきちんと理解しておらず、使い方もいまいちわかっていません。もしかすると文字を読みあげることができるかも知れませんし、文字を書くこともできるかも知れません。しかし、読んで理解しているのか、何かを伝えるため、文字で残しておきたいから書いているのかというと、ただ文字を読んだだけ、ただ書いただけというのが幼児期というレベルです。もちろん個人差があるので、早い段階から文字に興味を持ち、文字の使い方を獲得できる子どももいるかも知れませんが、文字を知ることでこんなことがわかるんだよ、文字が書けることでこんなことができるんだよっていう感動を子どもに与えてあげられるようなアプローチがあると、文字そのものに興味を持って、読み書きに繋げていけるようになると思います。

日本語の平仮名と片仮名の文字の読み書きに必要な条件としては、文字と言語音の結びつきをしっかり確立すること。幼児日本語教師の皆さんは、どんなアクティビティをしたら良いのか、考えてみましょう。

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幼児日本語レッスンで使える『あいさつのうた』

幼児日本語レッスンで、お歌を歌っていますか?

日本の幼稚園でも保育園でも朝の会があり、そこで歌を歌って、あいさつをするというのが朝の定番の流れ。そして、お帰りの時間にも歌を歌って、帰りのあいさつをして終わる。歌を歌うことは、発声を促すことになり、レッスンを始める際のウォーミングアップになります。

幼児日本語教室のレッスンは、毎日ではないかも知れないけれど、お教室の始まりと終わりには、これを歌うっていう曲があると子ども達もあいさつの言葉を覚えてくれるかなって思い、『あいさつのうた』を作ってみました。毎回のことながら、日本語を追加言語で学ぶ子ども達のために作っている歌詞なので、とっても単純で、繰り返しが多いため、すぐに覚えられることでしょう。

幼児日本語レッスンで取り入れてみよう!【あいさつのうた(カラオケバージョン)】By KJLTIA

あいさつのうた

1番 せんせい おはよう
あいさつのうた、1番の歌詞

1番 せんせい おはよう (手拍子)、みなさん おはよう (手拍子)、きょうも みんなで たのしく にほんごで あそびましょう。

*「おはよう」のところでお辞儀の振り付けを入れても良いですね。

2番 せんせい こんにちは
あいさつのうた、2番の歌詞

2番 せんせい こんにちは (手拍子)、みなさん こんにちは (手拍子)、きょうも みんなで なかよく にほんごで あそびましょう。

*「こんにちは」のところでお辞儀の振り付けを入れても良いですね。

3番 せんせい さよなら
あいさつのうた、3番の歌詞

3番 せんせい さよなら (手拍子)、みなさん さよなら(手拍子)、つぎも げんきに あいましょう、また らいしゅうね (バイバイ)。

*手拍子のところでバイバイと手を振る動作でも良いですね。また、毎日の通園、通学の場合は、「らいしゅうね」の歌詞を「あした」に変えても良いですね。

朝にレッスンがある時には、1番をレッスンのはじめに歌って、3番をレッスンの終わりに歌うといいですね。

午後にレッスンがある時には、2番をレッスンのはじめに歌って、3番をレッスンんの終わりに歌うといいですね。

あいさつは、時制によって使い分けるため、そこもしっかり子ども達に指導していきたいですね。夜にお教室を開いている幼児日本語教師はいないと思ったので、「こんばんは」の歌詞を入れなかったのですが、まずは「おはよう」と「こんにちは」を定着させていくと良いのではないでしょうか。

この「あいさつのうた」は、継承日本語教育だけでなく、外国語として日本語を学んでいるお友達にも歌ってもらいたいです。

海外の日本語を教えている学校やインターナショナルスクール、幼児日本語教師の幼児日本語教室で、子ども達が元気よく歌ってくれたら嬉しいな~。また、「歌ってみた!」ってその様子をKJLTIAに教えてもらえたら嬉しいです。

10月18日スタートの幼児日本語教師養成コースのオンラインスクールのお問合せは、こちらまで。

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ひらがなカード

【継承語教育】文字探しゲームに挑戦

前回の記事で、継承日本語教育においては、特に日本語の文字環境を整えることが大事というお話をしました。今回は幼児日本語教師のお教室でも家庭でも簡単に取り入れられる【文字探しゲーム】をご紹介します。

教材として用意するものは、物の名前をひらがなやカタカナで書いた言葉カードです。

今回は、お教室の室内に隠れている『言葉カード』を探すという、宝探しのようなゲームです。

子どもの日本語レベルは、さまざまですよね。この文字探しゲームは、文字に興味を持ってもらうことが目的としているので、まだ平仮名や片仮名が読めない段階の子どもでも大丈夫です。

このゲームは、文字を読むことが目的ではないのです。

文字を探すことが目的です。

先ず、言葉カードを用意するのですが、室内にあるものから適当に子ども達が普段の生活やお教室内で見聞きしていて、知っているものが良いですね。

言葉カード

今回は、『つくえ』『いす』『スイッチ』『ほんだな』『とびら』にしました。『れいぞうこ』のカードも作ってしまったのですが、お部屋の外に出なくてはならないので、今回は使いません。

それぞれの言葉カードが2色用意したのですが、例えば兄弟姉妹、複数人のクラスの場合、言葉カードを1枚にしてしまうと、カードの取り合いが起こったりしてトラブルを招きます。全員の子どもがカードを見つけられたという達成感を得てもらうために、はじめは全員分のカードを色分けして用意しておくと良いでしょう。今後、早く見つけた人が勝ち~などの競い合うゲームに展開していくときには、もちろん複数枚同じカードを用意する必要はありません。今回は、文字に興味を持ってもらうという目的もあるため、全員分のカードを用意しています。

言葉カード『ほんだな』を貼ったところ

言葉カードは、事前に室内の家具などに貼っておけるのであれば貼っておくと良いですね。何気なく目に入るようにお教室ではタームの始め、ご家庭の場合はアクティビティを始める数週間前や数日前から貼っておくと良いかも知れません。長期間、貼っておくことができるのであれば、子ども達に日本語の文字が目に入るようになるので、おススメです。こうして言葉カードを家具に貼っておくと、気が付く子は、直ぐに「これ、なに?」って聞いてくるかも知れません。子どもの観察力というのは、大人が驚くくらい鋭く、よく色んなものを常日頃、見ているものです。もしこちらがアプローチする前に、子どもの方から言葉カードに興味を持って、先生や親に聞いてきてくれたら、それは嬉しい反応ですよね。聞かれたら「『ほんだな』って書いてあるよ。本棚の『なまえ』が書いてあるんだよ。」って年齢に応じて伝えてあげると良いでしょう。「みんなにも名前があるのと同じで、物にも名前があるんだよ」っていうのを知ってもらうところからスタートしていくと、2~3歳児くらいだと「これは?」「これは?」と指差しながらの質問攻撃が始まるかも知れませんが、それも意図的に文字に興味を持たせるよう大人が仕掛けているので、お子様にお付き合い頂ければと思います。

言葉カード『スイッチ』を貼ったところ

ゲームの準備の際には、上記の画像のように人数分の言葉カードを貼っておきますが、室内の文字環境を整えるために日常的に言葉カード・文字カートを貼っておくのというのであれば、1つのカードで十分ですね。

それでは、文字探しゲームのやりかたです!

このゲームは、何度も言うように【文字に興味を持ってもらう】ことが目的となるので、子ども達がこのゲームに取り組む時点では、平仮名が読めなくても、カタカナがあることすら知らなくても、全く関係ありません。

文字は、子どもからしたら図形みたいなものです。〇、△、□、★、♡と同じように『あ』という文字を見ているかも知れません。先ずは、文字の形をよく見て、観察し、同じ文字を見つけてもらいます。

今回は、小学1~2年生で現地語の英語のアルファベットの読み書きが始まっている子ども達が対象としています。したがって、物に名前があるということは当然知っていて、日本語の読み書きの学習を始めるにあたって、少しずつウォーミングアップをしながら日本語の文字に興味を持ってもらう、日本語の文字でどう物の名前が表現されるのかっていうのを知ってもらうアプローチになります。

① 今回のゲームでは、出題する時に先生または親御さんは、「ほんだな」とか「いす」とか言葉を発しなくて良いです。「これと同じカードをお部屋の中から探して来てね」と子ども達に指示していきましょう。何故、「ほんだな」と言わないのかというと、ここでのアクティビティは既に「ほんだな」「いす」「つくえ」などお題で出される物の名前は既習事項とします。日常生活の中でよく聞いて、見ている物になるので、「ほんだな」と先生が言ってしまうと、文字カードを見ずに、本棚へ一直線に走り、「あった!」と得意げに訴えてくると思います。今回は、「文字」に焦点を当てているので、発声するのは正解が出てからにするとして、出題する時点では物の名前は言わないようにしています。もちろん、臨機応変に応用しながらアクティビティをアレンジすると良いと思うので、みなさんも色んなやり方を試してみると良いと思います。

出題カード『いす』
出題カード『とびら』

出題カードを子どもに提示しながら「これと同じカードをお部屋から見つけて来てね」と伝えます。1枚のカードを提示して、クラスや兄弟姉妹が一斉に同じ場所へ向かっていくことを想定すると、これもまたぶつかったりとかしそうだなって思う場合は、上記のように色別でカードが用意されているので、「ケイちゃんは、これと同じカードを探して来てください」とオレンジのカードを提示する。そして、「ジェイくんは、これと同じカードを探して来てください」と緑のカードを提示します。各子どもに別々のお題を出すというのは、これも年齢によって指導者が配慮すれば良いと思いますが、子どもというのは賢いので、周囲の人の行動をよく見ています。本当は、何をするのか理解していなくても、周りのお友達が動いている様子を観察し、何をすれば良いのか読み取って行動するということが出来てしまいます。そうやって真似をしながら色んなことを学んでいくので、とても必要なスキルですから見守ってあげると良いと思います。しかし、指導者や親御さんがその子どもの行動によって、「この子は出来ている」と勘違いする時もあります。そういうことも想定し、それぞれの子どもに違うお題を出して、自分で問題を解決してもらう能力を付けていけるよう配慮していくというアプローチ法もあるので使い分けていくと良いですね。

また先生や親のところに出題カードを置いたまま、子どもたちが出題カードをしっかり観察して室内を探索しに行くというやり方もありですし、年齢が小さい子や、まだ文字に触れたばかりで文字の識別が難しい、覚えられないだろうなっていう子どもの場合には、出題カードを手渡し、自分でカードを持ってそのカードと同じ文字が書かれたカードを部屋の中から探すという方法にすると良いでしょう。ここは、子どものレベルに応じて対応していくと良いですね。

言葉カード『椅子』を貼ったところ

② 子ども達がカードを見つけたら、カードを剥がして持ってこれるようにしても良いでしょうし、見つけた場所を先生に教えに来てもらうという方法でも良いと思います。

今回は、引っかけ用の言葉カードは入れていませんが、子ども達の文字への興味が出てきて、文字の識別トレーニングを強化する際には、引っかけカードを入れておくのも良いですよ。例えば、『つえく』『ほんたな』『こす』『スノッチ』『とひら』など、1文字だけちょっと違う言葉カードを引っ掻けカードとして入れておくと、ゲームも盛り上がります。

③ 全員が1つめの出題カードと同じカードをそれぞれ持ち帰って来たら、そのカードが何のカードか答え合わせをしていきます。先生が「ケイちゃんのカードは、どこにありましたか」と質問すると、カードが貼ってあった椅子の方を指差して「いす」と答えました。そして、先生が「ケイちゃん、すごいね。そう、これには『いす』と椅子の名前が書いてあります。」と伝えながら、『いす』のカードをしっかり子ども達全員に見せていきます。ここで、平仮名、片仮名の文字を見せながら、1文字1音であることを子ども達にわかるよう、『いす』のカードを見せて、指で1文字ずつ示しながら「い・す」と言いましょう。1文字1音って気付かせること、これもとても大事です。

言葉カード『とびら』を貼ったところ

そして、次に「ジェイ君のカードは、どこにありましたか」と質問し、ジェイ君が言葉を発することなく指差しだけで、あっちとカードがあった方を示しました。そこで先生は、「どこかな。先生を連れて行って」と言って、その場所を教えてもらいます。そして、「ジェイ君、これ何て言うか知ってる?」と扉を開けて聞いてみると、ちょっとわからない様子。先生「ちょっと難しかったね。ケイちゃんはわかるかな?」と聞いてみると「ドア」とケイちゃんが答えました。そこで先生が「そうだね、ドアとも言うね」。そしてジェイ君に「文字の数を数えてみてくれる?」と頼むと、ジェイ君が「いち、に、さん、3こ」と答えてくれました。先生が「そうだね、3つの文字がここにあるけど、『ドア』だと2つの音だから、ここに書いてある言葉は『ドア』ではないんだよ。難しいから先生が教えてあげるね。これは、『とびら』って言うの」と言って、指で文字を1つずつ指しながら伝えます。

④ 次のお題です。。。ということで、また2人の子ども達に出題して、同じように同じ文字を探して戻ってきてもらい、言葉カードの確認。そうやってゲームが進んでいくと、ケイちゃんのお題カードに『とびら』が出てきました。さっき、『ドア』って答えていたケイちゃんは、『とびら』を覚えているのかなって思いながら見守っていると、新しく学んだ単語というのは印象が強いのか、一目散に『とびら』のカードをとりに行きました。場所は覚えていたのかなって思いつつも、「ケイちゃん、これと同じ文字カードはどこにありましたか」と質問すると、あっちとキャビネットの方を指差して、自信満々に「とびら!!」って答えてくれました。ジェイ君も僕だってわかってるよっていう様子で「とびら」って発声してくれたので、2人にとって「とびら」という単語がこの日の新しい単語の習得になったようです。

⑤ 同じ日に行わなくても良いのですが、文字探しゲームでお題カードと同じカードを室内から探して持ってくるということができるようになってきたら、次は物に名札を付けようゲームに展開していきます。先生も生徒たちも自分の名前の名札を付けて、今度は物に名札を付けてあげようというアクティビティです。先程使ったお題カードを提示して、子ども達が持っている言葉カードの名札を物に付けてあげる(元に戻す)という作業になります。ここは、2人で協力し合いながらやっても良いと思うので、『ほんだな』『スイッチ』『とびら』『いす』『つくえ』の5枚のカードを自分達で考えて貼りに行きます。二入とも『とびら』は印象的だったのか、すぐに貼りに行く事ができました。『スイッチ』もすぐに貼れました。どうしてかなって思ったのですが、このカードだけがカタカナ表記になっているので、他とは違うということを子ども達が認識していたのでしょう。そこで、子ども達に「このカードは覚えやすかったの?」って聞いてみたら、小さい『ッ』を指差して、どうやら視覚でしっかりカードを観察し、他のカードには無い促音に注目したということでした。素晴らしい!

わからないカードは、先生に聞きに来て良いよって伝えておいたので、直ぐに子ども達が「先生、これ」と『ほんだな』のカードを出して来たので、先生は手拍子で4拍叩いて「ほんだな」を音で表現しました。日ごろから「絵本は、本棚にお片付けしましょう」と聞いている子ども達は、さすがです。4拍の手拍子でピンと閃いたようで、「ほんだな!」と叫んで、貼りに行きました。

今回の文字探しゲームでは、文字を観察して同じ形、同じ並びの単語を探すというものでした。また、ひらがなとカタカナの清音は1文字1音になっているというということにも気が付いてもらえるようなアプローチも入っていました。色んな言葉カードを使ってゲームを進めていくうちに、「このカードのこの文字と、あのカードのあの文字が同じ」と気がついたり、「いす」の『い』と「いちご」の『い』が同じだと気がついて行きます。そうすると色んな場所で文字探しが始まり、文字を読むというトレーニングが着々と積まれていくようになります。やがて、「い」と発声する音は、『い』という文字で表記できるということが理解できると、自分の発する言葉を文字で表記したいという気持ちが湧き、文字を書くというモチベーションに繋げていけるようになります。

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